海の巫女
□3.ヒューマンショップにて
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「ユースタス屋と知り合いだったのか?」
ローの隣の席について真っ先に聞かれた言葉がこれだ
その言葉に素直に説明し始めるヴィラ
「ドゥーニ島でお店を開く前に他の島の店で営業について色々教えてもらっていたんです。そこで出会ったのがキッドで…」
勉強するうちに次第に彼と話すようになったこと、店を他の海賊達との喧嘩でぶっ壊されたことなどを話した
「仲間に勧誘されたのか」
「そうですね…」
そのヴィラの返事に何に対してかは分からないが、ローは笑みを浮かべた
説明を終え、正面を向くとここが政府公認のヒューマンショップであることを実感させるように、次々と人間が奴隷として売られて行くのを嫌でも目にすることになる
「出るか」
ヴィラの様子に気づいたのかローが気を遣ってくれたようで問う
「あ、大丈夫です」
嘘ではない、これほどのことは海軍にいた頃も、海賊船に乗っていた頃も目にしたことは何度もある。ただ2年間島にいて平和ボケをしていたせいか、少し気分が悪くなっただけだ
フサッ
ヴィラの頭にローの帽子が柔らかい感触とともに落ちてくる
「これでも被っておけ」
「………ありがとう」
長いオークションが行われて行く
「偽客がいるわね…」
「あァ」