海の巫女

□2.夢見のチカラ
2ページ/3ページ





「さて、あれ?」





目の前に倒れていた血だらけの男が居なくなっている。ヴィラは周りを見渡すと先ほどの剣士がその男を抱えているのが目に入った






「あの、そこの剣士さん」


「!?っ」





声をかけただけのはずだが、その剣士は刀に手をかけた


(今、あいつの……)


その剣士_ゾロはかつて自身の胸に大きな傷を残した相手とよく似た視線を感じ取ったのだ。だが振り返りいたのはただの女一人、ゾロは不思議そうしている

そんなこととは露知らず、ヴィラの方は会いたいと願った人物に一番近しい顔つきの者が目の前にいるのだ、驚かずにはいられなかった






「あ…あなたは海賊狩りのゾロ!!!」




ゾロはヴィラが初めはただの一般人に見えたが、彼女の美しい瞳がどうしても気になる、その理由にはすぐ気づく

似てるのだ“あの男”の瞳と。物理的な見た目ではない、その瞳からは放たれる視線というべきか




「おい、お前…」



ヴィラとゾロ、両者とも聞きたいことは揃ったのだが、今はそれよりすることがあることを再確認する






「海賊狩りさん、その人を私に任せてくれませんか?私は医者です、きっと助けます」


「?…あ、あぁ。わかった、任せる」





普通なら突然現れた何処の馬の骨とも知らない女に怪我人を放っておくことなどしないが、この目に見られてはどうしても肯定してしまうとゾロ彼を託す。












次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ