海の巫女

□二章 1.シャボンディ諸島上陸
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「どこか行きたいところはあるか?」





シャボンディ諸島上陸後、クルー達は気を遣ったのかローとヴィラの前から姿を消した





「あ、えーと……本屋に行きたいかなぁっと」





言いにくそうに言ったものの、ヴィラこの一言には流石のローでも、一瞬目を見張る。そして口角を上げ微笑した




「…ククッ、そうだったな。もう少し色気のある場所を期待していた俺が馬鹿だったらしい」



幾度となく数多の女性との逢引をしてきたロー。好きでもない女のために面倒ごとをする彼ではないわけで…どこに行きたいと聞いても連れて行ってやった覚えは一度たりとてないが、やはり女達のいう場所は服屋や宝石店ばかりだった。それが良いにしろ悪いにしろ、ローには彼女の発言が新鮮だったのだ




「そんなこと言うと、お望み通りショッピングに何時間でも連れ回してあげますけど!」


彼の予想通りの反応で少し顔を赤らめるヴィラ






「いや悪い、ククッ…それでいい。だが、本にしろ服にしろ欲しいものがあれば買ってやる」


「……まぁ、欲しいものがないわけじゃないですけど」


「……?」



小声で呟く彼女の声はあまり聞こえなかった。





「さぁ!決まったら早く行きましょう?」


「そういえば…」


「…?」


「島に上陸した時、やけに嬉しそうだったな。過去に来たことがあるのか?」


「……………やっぱりそう見えますか?」



ヴィラはその質問を受けるのはもう数十回にも達していた。彼一人ではない、今までであってきた人々にだ






「自分でもよくわからないんですが、昔から新しい島とかに降り立つ時に無性に嬉しくなるのよね……そのなんていうか、外にいる実感というか、上手く説明できないけれど」




ヴィラの言葉に多少の疑問はあったものの、ローは彼女の手を取り、二人は大通りへ向かって行った












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