海の巫女
□11.昔話をしようか
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「自ら海軍に志願し、育て親の海賊の船を降りた私でしたが、海賊に育てられたことで海軍を信頼できず、それにこんな愛想の悪い性格でしたので、完全に孤立したんです。
でも、そんな私にも何度も話しかけてくる物好きが一人いた。それが………ユリアです」
回想______
『なんでついてくるんですか』
『なんでって、任務が一緒だから』
『任務なんて別々にやればいいこと、会話をする意味がどこにあるんですか』
『仲間はしっかりお互いのこと知ってチームワークを高める!!』
星のダサい髪飾りをつけた女海兵…
それがユリアの第一印象だった。
腰にはこれまた星のシールがベタベタと貼り付けてある銃二丁…
『仲間…?ただの同じ海軍という枠組みの中にいるもの同士、そんな大層な名前をつけないで』
その時、強く怒りに任せ言ったのを覚えている。育てられた海賊は仲間を第一に大切にし、子供の頃からずっと一緒に戦ってきた彼らこそが仲間だと思っていたからだ。出会って数日の女にそれを言われたのが我慢ならなかった。
だが…
『はははははっ!!!ハッ!?仲間でしょ!?…馬鹿じゃないの!仲間だよ!』
『だから……』
フサッ
ヴィラの頬に手を当てるユリア
目を見張るヴィラ
『人を守る、この後ろの正義という文字に魅せられた、同じ志………それを持っているだろ?それだけで仲間さ…!!』
肌で感じた、震えた。この女は純粋に人を守ることを信条として海兵になったのだと、そしてそれを共にするものを仲間と呼び、分かち合い、信頼を糧とする。
純粋に負けたと思った
だって人を守ることを目指して海軍へと入ったのに、自分の育てられた環境を理由に共闘すべき同僚と仲違いしていたのだから、守る人よりも自分の気持ちを優先していた…
だが、この女は一途にそれを目指している
負けたと思った…
『そんな顔してたら人生つまんないっしょ、笑わないのに綺麗とか……美人なのって妬ましいぃ〜!!』
頬をつかんだ優しげな手は続いてヴィラの頬をそのまま掴み、横へと引っ張った。
『いあいです(痛いです)』
ユリアはニカッと笑う
『お前の仮親友になってやる!』
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「それが彼女との出会いでした」