海の巫女
□9.全ての元凶
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見間違えはしない、するものか
彼女が一番殺したくてたまらない存在……人物の顔だからだ
あの子をやった………こいつだけは
「今回のこともさ。君、気づかなかったの?君を出し抜くために、君の店の店員の恋人にまで近づいたってのに……」
「今回………?」
動揺し頭が沸騰しそうだったが、何とか押し止め質問を投げかける
「その男が彼に接触し始めてから彼の様子が変わったんです!」
質問に返答したのは意外にもリゼだった、リゼの言う彼と言うのはこの気を失ってる青年のことだろう。そしてその男とは…セツアのこと。
「いやーさ、ただ君に会ってもつまらないじゃないか………だから、君の周りの人から攻め始めたのさ」
「セツア………よね……?」
彼のしたことが段々見えてきたヴィラ
声が震え本当に本人なのか確かめたくなってしまう。だが残念ながら幼い頃に共に育った正真正銘の本物_セツア、その人である。
「リゼさんだっけ?その人の恋人がさ、親の手術代とか借金で農地差し押さえとかでお金に困ってたからさ……お金が稼げる仕事を紹介してあげたのさ…」
パッと取り出すセツアの手には白い粉の入った袋
一目瞭然だ。
「そう、ドラックさ」
「セツア………お前っ!!」
ここで初めてヴィラは声を張り上げた
全て分かったのだ、リゼが給料前払いを希望したのも
つまりはセツアの策略によりドラックに溺れた青年のドラックの借金返済のため働いていたと言うことだ
だが金がなくなりドラックの販売元ドルテに人身売買か、それ以外の方法で恋人の彼女が借金返済をさせられようとしていたというわけだ
「自分のために他人を巻き込んだことが許せないって?ははっ、変わってないなぁ。吐き気がするほど綺麗事ばり並べやがって…ヴィラ教えてあげよう。お前はあの時みたいに…
何も守れはしないよ」