海の巫女
□8.犯人探し
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「おおよその検討はついたのか?」
「はい、ほぼ八割決定って奴がいましたよ…」
「あの男か?」
「ドルテのことですか?私も初めはそう思ったんですけど違ったんです。あの男がここの取締役になったのにはある男の協力があったからなんです」
間をおいてヴィラは続けて話す
「ドルテの兄_ルデオという男です。存在も認識されてないほど用心深い男みたいで海兵からやっと情報を聞けたってところなんです」
「恨まれた覚えはあんのか」
「そうなんです、そこなんですよ。店で説き伏せた連中からは恨みを買っているのは分かるんですけど、どれもチンピラばかりであれだけ大きな火事を起こせるとは思えなくて…その点ルデオは力もあり、裏では悪名高く、今回の事件にはピッタリの犯人なんです。でもそのルデオには会ったこともなくて…」
犯人が誰かということはローにとってさほど興味はなかった、悪名高いと言ってもこれほど小さな島一つを仕切っている悪党だ、ローが見てきた彼女の腕ならたとえ全面戦争になってもおつりがくる。心配はいらなかった
「俺が聞きたいのは一つだ……やるのか?」
彼が知りたいのはこの一つ。報復に向かうのかそれとも…
「…別に復讐なんてしませんよ。店で働いてた子たちも他の店で再就職先を見つけてあげられましたし…」
「そうか」
「でも、なんか違和感があるんですよね。何か忘れているというか」
その予感は正しかった。
ダダダダダダッ
足音がヒール音が店に反復する
「店長!やっとみつけました‼」
「キア!?」
この子も店で雇っていた女性の一人だ
「どうしたの…そんなに血相変えて」
「リゼさんが…ッリゼさんが…ッ‼」
顔色がよくないキアは気が動転しているのか同じ単語しか話すことをしない
背中をさすり落ち着かせた後、やっと深呼吸をするキア
「先日店長に紹介してもらった店でリゼさんと一緒に働いていたんですが…突如ドルテが現れてリゼさんを…リゼさんを…」
そこまで聞けばわかった
それと同時に動き出す身体
向かう先は言うまでもない。