海の巫女
□6.嵐の予兆
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「船長、出航の準備、明日には終わるッスよ」
「そうか」
部下から報告を聞くと、本格的にこの島を離れることがより鮮明に自覚させられたような気がした
仕方ない
待つことなんて出来ない
俺たちには俺たちの航海がある
「ヴィラ…」
今まで、欲しいものは力ずくで奪ってきた
そして必要のないものは切り捨てて
おかげで今や残忍で名の通っている始末だ
だが、あの女だけは、気持ちを無視して連れて行くことなどできなかった
いつからこんなにも良心的になったのだろうかと自身を疑うが、いや、それは違う
その理由を知っている
ヴィラだったからこそ、彼女の気持ちを無下にはできなかったのだ
ダンッ!!
“思い通りいかない”
__恋情とは、なんと融通の利かない感情なのだろう___
ローは壁を拳で殴る
「クソ…ッ」