海の巫女
□6.嵐の予兆
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「それは……仲間になれという意味ですか?」
「あぁ…」
仲間……
その言葉が彼女の頭の中をこだまする
微かに、口角を上げる彼女
「お断りします」
それは冷たい空気の店内によく響いた
「………」
ローは驚きの表情は見せなかった、内心もどこか予想していた答え通りであった
「あなたが私を必要としてくれたことは嬉しいんです。でも、行けない……ごめんなさい」
ヴィラは丁寧な声と姿勢で一礼した
「そうか」
この島に来て、数週間…ローは思考を回す
「俺は、明日…この島を出る、気が変わったら俺の船へ来い」
ローは、骨折した腕とは反対の手で、刀を握り、静かに去っていく
「行きませんよ…」
「…!!」
ローはその言葉を聞き振り返る
彼女は、ニッコリと柔らかな笑いを見せこちらを向いていた
「仲間って…言ってもらえて嬉しかった」
微かに瞳が潤んでいるように見える
ローはこの時初めて弱さを見せたような気がした
「…そうか、じぁ、これが最後の別れだな」
ローは再びドアに手をかけた