海の巫女
□3.空間の違和感
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「はぁ…」
ため息をついたヴィラはそばにある椅子へと腰をかける
「金?」
大男との会話にあった金について質問するロー。奥の部屋に会話は筒抜けだったのだろう。
「えぇ、営業料よ…あの男_ドルテは、ここら辺の取締役といったところでね」
「あれがか」
「フフッ、鋭いわね、あの男は元海賊でね、ここを取りしまってるからって膨大な営業料をとってくのよ、払えなかったら店を潰すっていう条件付きで。この島が海賊嫌いになったのもあいつがいるからかしらね」
「払えてんのか」
そう問うローに、静かに首を横に振るヴィラ
「ここに、店構えててもね、大通りじゃないからあまり儲けもないしね」
「この店が‟大層気に入ってるんだな”」
この時のローは笑みを浮かべていたものの、何か違和感を帯びた視線でヴィラを見ていた。
「えぇ…こういう、お客様と話したり、作ったものを美味しいって思ってもらうのが一番嬉しいんです」
そう話す彼女は、少しだけ寂しそうに見えた。
そしてこの一言が、ローを悩ませていた妙な違和感の謎を解かす。
「へぇ…」
(この女………なるほどな)