海の巫女

□3.空間の違和感
2ページ/4ページ



「はぁ…」



ため息をついたヴィラはそばにある椅子へと腰をかける





「金?」






大男との会話にあった金について質問するロー。奥の部屋に会話は筒抜けだったのだろう。





「えぇ、営業料よ…あの男_ドルテは、ここら辺の取締役といったところでね」


「あれがか」


「フフッ、鋭いわね、あの男は元海賊でね、ここを取りしまってるからって膨大な営業料をとってくのよ、払えなかったら店を潰すっていう条件付きで。この島が海賊嫌いになったのもあいつがいるからかしらね」


「払えてんのか」





そう問うローに、静かに首を横に振るヴィラ





「ここに、店構えててもね、大通りじゃないからあまり儲けもないしね」


「この店が‟大層気に入ってるんだな”」





この時のローは笑みを浮かべていたものの、何か違和感を帯びた視線でヴィラを見ていた。





「えぇ…こういう、お客様と話したり、作ったものを美味しいって思ってもらうのが一番嬉しいんです」




そう話す彼女は、少しだけ寂しそうに見えた。

そしてこの一言が、ローを悩ませていた妙な違和感の謎を解かす。




「へぇ…」



(この女………なるほどな)









次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ