海の巫女

□2.彼女の名
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「ちょっと....お客さんやめてください....」





一人の店員が困った様に一部の客と話をしているのが見に入る。

というか、かなりの大きな声で話すその男
客の視線を集めるのは当然だった。






「いいじゃねぇーかよ、減るもんじゃねぇし」


「いえ、ちょっと...困りますっ....」


「この店は、客の相手もできねぇのか?」





酔っているのか、段々と声が低くなり苛立ち始めているその客。







「いいから、こっち来いって言ってんだよ!」


強引にその女性店員に手を伸ばす




バシッ



「あぁ”....?」



その男の腕を誰かが掴んだ
腕は、その女には当たることなく途絶える。



なんだ?っとその男が腕の方を見れば





「マナーを守れない様でしたら、ここ、出て行ってもらえます?」





その声はローには聞き覚えのある声であり、今、目の前に居たはずの人物





「ここは、そういう店じゃないの、これ以上うちの従業員に手を出さないで」


「て、店長....」





安心した様にホッと肩を撫で下ろす女性従業員

男は、店主を見てニヤニヤといやらしい笑みを浮かべ、酔っている赤い顔を近づけた。






「おーぉ、じゃぁ、あんたが相手してくれんのか?」


「........」





彼女は、何も言わない





「あんた、‟ヴィラ”だろ?噂は聞いてるぜ、色んな男の誘いを断ってるんだってなぁ」



「!!」




その名前を聞き逃すはずもないロー。

そのヴィラという名とあの図書館での名前がピッタリと脳内で一致する。






「なぁ....どうなんだよ....っ!!」





何も言わない彼女に我慢ができなかったのか、怒鳴り始めたその男。






「出て行けって言ってるの....分からないの?」


そう低い声で言い放ったヴィラ


「っ....!なんだと!?」


それに逆上した男は勢い良く手を上げる

ローが「おい」と声を上げようとした瞬間_





ダンッ


「ぐっ....!!」



それより早く、男は勢い良く地面に叩きつけられていた。



彼女は、向かってきた腕を簡単に掴み、そのまま地面に背負い投げをしたのだった。











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