海の巫女
□一章 1.同じ名の女
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「船長、遅かったッスね」
船へと帰ると、シャチが出てくる。
「あぁ、まぁな」
ローは帽子のツバを掴み深く被る。
影が作られ、顔の表情はあまり読み取れない。
「どこ行ってたんスか?」
「ただの散歩だ」
質問をされて、正直に言えばいいのだが、何故か本能的に口には出さなかった。
誰かにあの場を知られたくない様な妙な気持ちが心の中に存在していることがロー自身をも驚かせていた。
「用ができた、今夜は少し空けるぞ」
「了解ッス」
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