海の巫女

□3.ヒューマンショップにて
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「あれ」




あの剣士がいない。真っ直ぐだと言うので彼の少し前を歩いていた。そして振り向くと彼は消えているではないか


なぜだ、自分はあのゾロという人物に騙されたのだろうか、それとも彼が道を間違えたのだろうか


さすがルフィの仲間だなと違う意味で驚きながら残念がるヴィラ






「せっかく見つけた手がかりだったのに」





この際どうして彼が消えたのかは考えないこととする。

だが、立ち止まったこの場から一直線上に、【human】とかかれた看板を出す店が見える






「………まさかね」










♀♂









こんな場所にルフィが寄るとは思えないが、可能性を捨てきれず店に入り込むヴィラ






そこで思いもよらず、ある人物に出会うとは知らず…





入り口を通りかかった時、視線の端を懐かしい赤い髪が横切った


相手の方も、ヴィラの長い艶のある髪に並ぶモノを持つ他の女をこれまで一度も見ていないと瞬間的に思いながら、その懐かしい黒髪に無意識に視線がいく





「「あ」」






声が重なる

お互いこんなところで再会するなどどとはこれぽっちも思わなかっただろう







「キッド……」


「ヴィラ…」



ヴィラが見た赤髪はこの島に滞在しているルーキーの中で一番懸賞金の高い、キッド海賊団船長__ユースタス・キャプテンキッドのものだった

様子からしてお互い知り合いのようだ







「なんでお前がこんなところにいやがる…」





その時、運が悪いことにこの会場に先に入室していたローがヴィラの存在に気づく。彼の目線にヴィラが気づき、視線を交わす


その様子を間近で見たキッドは、クスクスと笑いだした。そして怒鳴り声がヴィラの耳に届く





「そういうことか…テメェ、俺の勧誘を蹴っておきながら、トラファルガーのとこに転がり込んだのか!?あ!?」






血相を変えて怒鳴る彼にヴィラも黙ってはいなかった






「勧誘?人の店ぶっ壊しといて勧誘ですって?、断られるに決まってるでしょ!このバカ!」

「バッ…。あれは、俺らに喧嘩売ってきたやつが…っ!!」





二人にしかわからない話が飛び交う

的確なことを言われ一瞬言葉に詰まるキッド。キラーは『面と向かってこんなことをキッドに言えるのはヴィラくらいだ』と、彼女の存在を知らない仲間たちに教えているようだ

ヴィラも通常の敬語の口調とは違い、かなり砕けた声色だ







「騒がしいな…」

「ヤバっ」



男女の怒鳴り声は会場全体に響き渡っていた、当然天竜人もそれを不快に思い振り返る。それを察知したヴィラは素早くキッドの口を押さえ、自分たちに能力を発動させる



天竜人の目には人一人いない会場の背後部分が映る。一瞬の大声だったので少々疑惑が残るがそのまま有無を言わず前を向いた





(はぁ…よかった)




安堵したところでヴィラは、キッドの口を押さえる手を離す






「キッド、そういうことだから、じゃ」


「まだ話は……おいっ!」



そういいトラファルガーの元へ向かったヴィラをキッドは引き止められなかった
















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