海の巫女

□2.夢見のチカラ
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本日二人目の世間知らずの登場だ。ひれ伏す人々は二度目の惨劇を予感した

先ほどの剣士もヴィラを見ている






「こんにちは」




ヴィラはわざと無礼な態度をとる


天竜人はヴィラの美しさに無意識に瞠目するが、自分の前を横切る彼女を許してはおけるはずもなかった

銃口が彼女の身体に向く






発射そよりも早くにその銃口を手で押上げるヴィラ。銃口が空に向くとヴィラはほくそ笑みながら顔を天竜人へ近づけた。


ここまでの流れは滑らかで実に素早い。だが本番はここからだ___



天竜人とヴィラの目線が合う時








「“あなたは何の不満もなく、当初の目的地へ向かう”、“新しい美しいお妃様など一人も見つけずにね”」





彼女の美声がゆっくりと放たれる





それを言い終わると、掴んでいた銃を離し、彼から離れるヴィラ

唖然としているとして立ち尽くす天竜人






「行くぞえ」

「え?」



予想外な天竜人の言葉に付きの者も間抜けな声を上げる。それもそのはずだ、無礼な態度をとったこの女を銃で撃ち殺すことをしないのだ。それどころか、数分前に妻にすると宣言した女を解放するではないか

その場にいた皆が困惑するのは当然の結果





(こうなるから使いたくなかったのだけれど…)




ユラユラの実の力の一つ。

夢見のチカラ__他者へ幻術の嘘の夢を見せることでそれを現実と錯覚させる技。簡単にいえば催眠術に近い

幻術を目の前に見せ神経に働きかける技だが、誰にでも聞くというわけではない。幻術を跳ね返すことができない一般市民並みの戦闘力の人物のみ有効だ、憶超えクラスには到底通じない


気づけば目の前からあの天竜人は消えていた






「あの女…何をしやがったんだ」


「んだあの女、天竜人が帰って行った!?」



海鳴り_スクラッチメン・アプー、大食らい_ジュエリー・ボニーの順に各々の感想が放たれる









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