赤と白の戦慄

□3.紙の本
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同居をしてしばらく経つ
少年はこの家に慣れ始め何処になにがあるかが分かり、自由に使用しているように見えた




ある日





「聖護君、これを君にあげよう」



紅は、一冊の本を彼に差し出す



「……紙の…本……?」





彼は、少し不思議そうに本を受け取り表紙を触り始めた




「読んで見るといいよ、強制はしないけどね。面白くなかったらそこの棚にでも置いておいて」





白い棚を指差す






「紅さんも……読んだんですか?」



「うん。私が六歳の時に始めてね。
電子機器でも読むことはできたけど、本自体が好きな私はやはり紙の本を選んだよ」




もう、六歳の頃からこの人はこんな感じだったんだろうと思う少年

そして、自分の年齢と比べ少し焦りを覚えた





「本自体?」


「紙の肌触り、ページをめくるとかの音とか…かな。電子機器は味気ない次へ次へと行ってしまう
もちろん、本の内容も大事だけどね」






その言葉を聞いて、聖護はすぐさま手で本を開こうとした。話のおかげで興味が何倍にも増幅したからだ。

先ほどの焦りは少しでもこの女の人に近づきたいと思ったからだった


近づきたいのは、マネという意味ではなくてはやく自分の考えを出したいということだった。


人と違うことは昔から分かっていた
だが、どう違くて、自分はどんな考えをしているのかは具体的には、よく分からなかった
だから、自分の考えを例え、時代遅れだとしても優雅に話す彼女を羨ましいと思ったのだ

人と違うことを恥じるのではなく、尊重している彼女に。






「紅さん、ありがとう。これ読んでみます」


「うん。きっと色々な考えがうまれるよ」







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