長編
□重たい愛で強制フリーズ!
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ひょろりと高い身長に特徴的な髪型をしたその人が視界の端にちらりと映った。それは間違いようもない彼ではないか!そう認識するや否や身体は動いていた。
「金田一!」
一秒でも早く、と全速力で走って、飛びつくその直前に勢いを殺すように半歩分の距離でステップを入れて歩幅を合わせて……その細長い背中に飛び込んだ。
「うわぁ!」
「青葉城西高校男子バレー部にようこそ!金田一が来るの待ってたんだよ!」
小さな気遣いは一応意味を為していたようで飛び込んだ身体は大きくふらついていたけれど何とか寸でのところで踏み止まり私を受け止めた。
「……相変わらずですね、先輩。」
「えへへ、国見もようこそだね。」
「またよろしくお願いします。」
「うん、しっかりサポートするから国見らしく頑張ってね!」
私を何とか受け止めた身体がぴくりとも動かないのでそのまま隣で苦笑を浮かべる懐かしい顔と会話をしてみる。その間、金田一は変わらず微動だにしない。
これはさすがにやり過ぎたか、とゆっくりと身体を離すと案の定、金田一は茹でだこのように顔を真っ赤に染めてカチンコチンに固まっていた。
「……岩泉、ごめん。やり過ぎたみたいで動かなくなった。」
「はぁ!?俺、言ったよな?程々にしろって。」
「だって久々に手が届くところに金田一がいたから……。」
「なまえちゃんの金田一好きは悪化の一途だね。」
「金田一がかわいいのが悪い……。」
及川の岩泉好きと大して変わんないよ、と思いながら金田一を見遣ると岩泉に背中を叩かれてフリーズのは解除できたみたいだった。
「あ、あのみょうじ先輩!またよろしくお願いします!」
何テンポか遅れた言葉とともに深く頭を下げた金田一が底抜けにかわいく、愛おしくて衝動的に抱きつくと岩泉に頭を叩かれた。
重たい愛で強制フリーズ!
(固まる金田一もかわいいなぁ。)(とりあえず写真に収めておこう。)
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多分ずっとこんなテンションで続けていきます。