リクエスト小説

□計算高い魔王様
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「おい、グイーノ」

「何でしょう、魔王様」

ぶっきらぼうに返事をした側近に周りの者達はそわそわとこちらを見遣る。

・・・・・・・・・・・・・・・仕方ない。

「見回りに出る、付き添え」

「お一人で行っても問題無いでしょう」

「体裁が良くないだろう」

「魔の属性を持つ我々が世の目を気にしてどうするのです」

全くもって言い負かせられる気がしない。
拗ねに拗ねた此奴は面倒臭いな。

「オレが着いてこいと言っている」

「はあ、分かりましたよ・・・」

読んでいた書類をぺいっと放り出してオレの横に立ったグイーノは少しだけオレの腕に体を擦り寄せた。

「昼食も城下で取ります、奢ってくださいね魔王様」

上司に飯をたかるのはお前くらいなもんだぞ、全く。
そう思いながらもやはり部下には甘くなってしまうのはオレの悪いクセなんだろうか。

「何やってるんです、早く行きますよ」

「ああ、そうだな」

「・・・で、」

「ん?」

「私で宜しいのですか?」

少し不安そうにしながら聞いてくるグイーノ。ニヤけそうになる唇に慌てて力を入れた。

「何を言っている、オレの側近であり恋人はお前だけだ。お前が良いのだ」

「はい・・・、」

照れたように下を向いたグイーノにオレの周りにいた者達はグッ、と親指を立てた。

さて・・・。
城下から下働きにと雇ったあの若い魔族の娘は特に仕事を失敗した訳では無いが金を持たせて家に返しておこう。






End
 

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