短編U
□甘辛の相性
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「亜滝ぃ! おっはよー!」
相変わらず甘ったるい香りを漂わせて抱き着いてきたのは瀬川 雪緒。俺の恋人だ。
もう昼休みだってのに「おはよう」って何だ、つーか朝からコイツ見てなかったけどまさか今登校したとかじゃねぇよな。
「甘い、寄るな」
「えぇ〜、そういう亜滝は今日もオムライスにタバスコ掛けてるぅ、まっずそ〜」
「うるせぇ、人の味好みに文句言うな、お前が食うわけじゃねぇんだから」
味好み以外だったら相性抜群の恋人だってのに、なんでこうも正反対の舌を持っちまったかね。
「おい、俺の横でパフェ食うな。ってか飯を食え、飯を」
「やだよぉ、今日はパフェの気分なの。しかも期間限定のチョコチョコマシュマロパフェ!」
「名前聞いただけでもゲロりそう・・・」
俺はぅげ、と舌を出してからオムライスを頬張る。あー、美味ぇ・・・。
しかし隣から漂う甘ったるい香りで台無しだっての・・・。
「おい、これ食ったら屋上行くぞ」
「サボり〜? ゲーム機持ってきてるよ〜」
「流石」
「でっしょ〜! 今日はゾンビゲーと牧物でっす」
「ゾンビゲー一択で」
「知ってた〜」
本当に、こういう相性はいいんだけどなぁ。と内心思いながらも俺はオムライスにもう一度タバスコをぶっかけたのだった。
End