短編U
□闇時計
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「はぁ…、はぁっ……はぁ、」
人気のない駐車場に男が1人。
手には白い小さな箱を握り締めていた。
「こちら、black。任務完了……っ、」
白い箱を握りしめてはいない逆の手で左耳に手を当てる。
『…撒けたか?』
そこから聞こえてくるのは妖艶さを含んだ低い男の声。
「はぁっ……、撒けてなかったらまた逃げるだけ」
男――blackがそう答えると耳からクツクツと笑う声が聞こえてくる。
『まぁお前も体力ねえんだから程々に……あ?』
男の声が不意に止まった。
「何」
『お前、第1ブロックにいんのか?』
「近いが違う。ここは……第5」
『そこから離れろ! すぐだ!』
パァアン────!
男の焦った声が耳に届いた時に乾いた音が響いた。
ドッという衝撃が肩に来た。
撃たれたっ……。
そう思った時には走り出していた。
「アイツだ! 追え!!」
「悪い、gold。あとで連絡する!」
『おい、待て――』
急いで通信を切ると追っ手を撒く為にスピードをあげた。撃たれた肩がジクジクと痛み出すのも無視をして。