短編U

□君の隣に異質なヤツ
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「享次〜!! 助けてくれぇ!!」


そう言って駆け寄ってきたのは今野 聖来(こんの せいら)
その後ろには何やら嫌な妖気が付いてきていた。

俺は亜壁 享次(あかべ たかつぐ)
家は代々陰陽師を生業としている。

かくいう俺も妖怪や幽霊の世界では結構有名だったりするのだ。


高校で出会った俺達はすぐに意気投合したが、聖来が俺を避けるようになった。
何でかと理由を問うと自分は幽霊や妖怪、その他諸々の非現実的なモノに憑かれやすいのだという。
今まで自分に関わってきた人間は皆、事故や災害…酷くて死に至ったのだと。
折角仲良くなれたのにそんな目に合わせたら苦しくて死にそうなのだと言ってくれた。

俺は泣きじゃくる聖来に自分の仕事を話してそれからフダを渡した。
まぁそんなこんなで関係は続いているのだけれど……




「お前...またフダを落としたのか...」


「ごめんなさぁい!」


元々ドジ体質なコイツはフダをよく落としたり無くしたりしてしまう。
ペラペラだし、紙だから仕方ないっちゃ仕方ないんだが……



「これで何度目だ」


「103回目ぇ!!」


「はぁ...」



俺はチラリと妖気を見た。
コイツはただ遊んで欲しいだけか。無理に追い払っても恨まれるだけだし……




「無くした罰だ。そのままでいろ」

「ふぇ?!」

「大丈夫だ、やばくなったら助けてやる」

「そんな殺生な!!」

「じゃ、頑張れよ」

「うわぁあん! 享次ーー!!」


俺は叫ぶ聖来を置いて他の依頼に向かったのだった。



End

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