短編U
□静かにしましょう
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「あっちゃん、眠い……(´・ω・`)」
そう言ったのはこのバーを経営している夫婦の息子、俺より2つ下の緑北 翔馬だ。
バーの名前は『pony angel』
不良達の溜まり場である。
「あらあら、翔ちゃん。眠いの?……あっちゃん悪いんだけど二階に連れてってくれない?」
そう俺に頼んできたのは翔馬の母親の瑠璃さん。
こんなおっとりした人でも昔は最強だったチームの幹部であったとは思いたくない。
「いいっすよ。……ほら翔馬、歩けるか?」
「あっちゃん、抱っこ(´・ω・`)」
そう言って両手を広げてくるので抱くしかない。
「おう、翔馬! ねみぃのか?! …寝る子は育つっていうのにお前はいつまで経ってもチビだな!」
店に入ってきたのは翔馬の叔父である、英志さん。
でけぇ声出すなよ、せっかく寝かけてたのに…
俺は大音量で話す英志さんを無視して店の裏手にある階段を上がる。
「あっちゃん、空ちゃん……(´・ω・`)」
二階にある翔馬の部屋に着くといつものぬいぐるみを探してるみたいだ。
あれ、昨日はあったのになぁ
「ワンっ!」
その鳴き声に振り向くと
「マカロン!」
この家の飼い犬である、ミニチュアピンシャーのマカロンがぬいぐるみを咥えていた。
「返せっ!」
「グルルル!」
「遊んでんじゃねぇよ!」
「ワンっ!」
なんとか取り返したぬいぐるみを翔馬に渡そうとしたが
「すぅ…すぅ……」
既に寝てしまったようだ。
俺はマカロンにシーと言うとぬいぐるみを翔馬の横に置いて自分も彼の横に寝たのだった。
End