短編U

□時々不安定なウサギです
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「..ん、」


随分寝ていた気がする。
朝からダルかった身体は少し軽くなっていて熱っぽかったのも少しなくなった。



「先輩、起きました?」



「けん、と..」



「喉渇いてないっすか? ..あ、陸飛先輩ならキッチンに居ますよ」



俺は少し不安定になってた。
2年生になって久しぶりの高熱で保健医は出払っていて居なくて病院から呼び出すのも忍びなくてずっと高熱と向き合っていたから誰かが――謙人が来てくれたことが嬉しくて


「先輩、何泣いてんすか」

「謙人・・・」

「大丈夫っすよ、俺ここにいますから」



そう言う謙人の袖口を遠慮がちに掴むと彼はニコリと微笑んだ。

「謙人..」

俺はそれだけで安心して謙人の袖口を掴んだまま眠りについてしまった。


だから俺は知らない



「覗き見なんて悪趣味っすね」

「同室の特権だろ」


なんて会話がされていたなんて..




End
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