短編U
□寂しがり屋のウサギです
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俺の恋人である墨田 謙人はモテるし、愛想がいい。
勉強もできるし運動もそこそこ出来るし...言うことなしのイケメンなのだ。
それに比べて俺は身体が弱くて1年の大半は寮で休んでいなくちゃいけないし、学校に行けても途中で早退することがほとんどなのだ。
理事長には病気のことも言ってあるので特別に授業免除などの配慮はしてもらえたが、何より俺が嫌なのは...
「先輩! ヨーグルト買ってきましたよ」
謙人に迷惑が掛かること。
「謙人、別にいいって言ったのに・・・」
「あぁ! 先輩寝てて! 俺、お粥作ってきますからっ! ヨーグルト食べてていいですからね」
起き上がろうとする俺を優しく押し倒して寝かせるとキッチンに向かった恋人。
「至り尽せりだな、恋人様」
そう言ったのは俺の同室である山本 陸飛。
「陸飛先輩っ! 先輩の熱計ってください」
「へいへーい」
陸飛が俺──生白 弘典のボタンを外す。
重症ではない場合は保健医を呼ばずに同室や友人に介護をしてもらうのだ。
「陸飛...」
「んー? だるい?」
「ごめん...」
「今更やめろって..親友だろ? みずくさいこと言うなよ」
苦笑いして俺のワキに体温計を挟む。
「先輩、お粥作ったけど食べれそうっすか?」
「ん、ちょっとなら...」
俺は謙人が作ってくれたお粥を見る。
あ、美味しそう...女子力高い爆ぜろ
「先輩、今変な事考えました?」
「そんな事ねぇよ」
ピピピピ...ピピピピ...
「何度っすか」
「37.9度」
陸飛が読み上げた数字に若干顔をしかめる謙人。
おい、イケメンが台無しだぞ青年よ。
「先輩、体起こすっすよ」
「ん、」
ガクンと勢いで起き上がった身体は謙人の方に引き寄せられた。
そのまま抱きとめられて背中を数回撫でられる。
「先輩、気持ち悪いとかないっすか? 吐きそうとか大丈夫っすか? 無理なら言うんですよ?」
全く、うちの恋人さんは心配性らしい。