短編U
□ぽっかりと穴があく
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お前に恋した俺の心はまだ綺麗な、穢れを知らない生まれたてだったんだろう。
お前に告白された時、生まれたての心が壊れそうなくらい音を鳴らしたんだ。
男同士だとか気にしなくていいと、
共学だったのにそう言ってくれて、
俺の心は嬉しそうに跳ねた。
お前が別の子に告白されてた時、俺の心は嫌な音を立てて崩れ落ちそうだったよ。
お前が泣いてる俺を慰めてくれた時、少し傷のついたの心が簡単なくらいに立ち直った。
お前は俺の全てだった。
お前がくれたものは俺の心を鳴らしてくれる。
お前は綺麗な奴だった。
ずっと一緒だと…………思ってた。
お前に別れを告げられた時、俺の心にヒビが入った。
お前の告白が偽りの物だと知った時、俺の心が割れそうになるくらい軋んだ。
お前の口からあの言葉が出た時、俺の心は穢れていった。
お前の傍に学校で有名のマドンナがいた時、俺の心が嫌な音を立てて割れた。
違うと言ってほしかった。
嘘だと言ってほしかった。
嫌いだなんて聞きたくなかった。
男同士なんて有り得ないとは言われたくなかった。
それなのに
お前の言葉は俺の心に突き刺さる。
綺麗な言葉も嫌な言葉も
お前の声だから
お前の口から聞いたから
お前だから
――――消えねぇんだよ。
End