短編U
□鳥になったら
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「帆紀、俺さ生まれ変わったら鳥になりたいよ」
酷く掠れた声で俺の幼馴染はそう呟いた。
いつもなら何言ってんだよって笑って飛ばしてた。でも今日はそんなことしない。
今日はコイツのたった一人の家族の葬式だから。
たった一人の姉が心臓病で昨日の夜中に亡くなったのだ。
「なんで……?」
「だって……綺麗じゃん」
「……空飛ぶのって疲れっぞ」
「………………」
「おい、」
何も喋らないコイツ。
「生まれ変わるなら人間以外がいい」
「……俺はまた人間がいい」
「汚い世界なんて見なくていいじゃん」
俺が視線を外すと外ではコイツの親族がコイツの引き取り手を探していた。
俺はすぐに視線を戻した。
「ねぇ、帆紀……」
「なに」
「生まれ変わっても帆紀に会えるかな」
初めてこいつが上げた顔は泣きそうな顔じゃなくて悲しそうに笑う顔。
そんな顔するなら泣き喚かれた方がまだマシだよ。
「例え、生まれ変わっても…種類が違っても俺らは親友だよ」
そう、『親友だよ』……
End