短編U

□リミテッド
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ホールでは何人か死んでいた。


敵とみえるのは黒いフードを被った何やら不気味なもの。


それに対峙しているのは殺し屋の中でも残酷な殺し方をすると有名な(ふう)だった。



「敵、1人」


樒はそう言って周りに散らばっている死体を片付け始めた。
中には顔がないものや足が引き裂かれているもの、腹の中が全て取り出されたものなど色んな死体があった。


死んでいるのはまだまだ半人前の殺し屋だったのだろう。
手を真っ赤にして死体をバーの裏に備え付けてある焼却炉の中に放り込むとパチパチと音を立てて木と一緒に燃え上がった。




すべての死体を片付けホールに戻るが、戦闘はまだ続いていた。
刄が帰ってくる前に仕留めないとこのバーは壁や天井が血で覆い尽くされてしまうだろう。

そんな事が前に遭った。

あの時は幹部連中ですら刄を止めることが叶わず何十人もの死者を出したらしい。


なぜバーで戦闘をすると暴れるのか刄自身も分からないらしい。



諷も焦っているのか攻撃は当たっていない。





「退け、殺る」


樒は諷を退かせると一瞬で片付けてしまった。

死体を片付けた時に付いたその上に返り血がベッタリと付いてしまった。


「・・・」


諷は何も言わずに巣を出て行った。
新人に敵を倒されたのが気に食わなかったのだろう。諷はそんな奴だ。




「刄、遅い。今のうち」



それからが早かった。

残っていた殺し屋を利用して店をまるで綺麗にしたのだ。
樒は2回目のシャワーを浴び、




今は普通に酒を飲んでいる。



カランコロン



先程の戦闘など感じさせないかのようなゆったりとした雰囲気。小さな鈴の音が樒の耳に入った。




「刄、おかえり」


「ただいま、樒」


また今日も二人が出会えたことを幸せに思う樒であった。




End
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