過去拍手文
□過去拍手文12
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12月25日。
それは赤い服を着たお爺さんが子供達にプレゼントをくれる日。
愛大はこの日のためにバイトをしてお金を貯めていた。
それはたった1人の恋人である瞳也の為に。
「あ、有り難うございました...」
「愛大君、今までありがとね! もう、いい働きっぷりだったよ!また機会があれば宜しくね」
にこやかにそう告げる店長に「はい」と返事をして別れた。
まぁ今から貰ったお金はプレゼントに早変わりするのだけど。
カランコロン
「いらっしゃ...あらぁ〜マナ君じゃない! どうしたの? この時間に...瞳也はまだ来てないんだけど...あっ、座って座って!」
瞳也の働くバーにやって来た愛大はそう言って出迎えてくれた瞳也の母親に問いかけた。
「あの、明日クリスマスだから...お店って混みますよね?」
「ん〜お父さんに聞いてみないと分からないけど...どうして?」
「出来たら貸し切りにしてこの店を装飾したいんです。...瞳也へのクリスマスプレゼントを作りたくて...」
図々しいのは分かっていた。
いつもお客さん(ほとんど瞳也の彼女)で賑わっているこの店内をクリスマスという最も稼ぎのいい時に貸し切りにするなど店にとっても迷惑だろう。
返事をしない母親に不安になって愛大は断ろうとした。
「いいわよっ!」
「え...」
「なに驚いてるのよっ! 滅多にないマナ君のお願いよ?聞いてあげないとあたし、悪い人みたいじゃないの! それだったらお父さんも喜んで協力するわよっ! もう! そんな泣きそうな顔しないでっ」
不安だったものが一気に取り除かれたような気がして安心から泣きそうになる。
「でも! 一つだけ条件!」
「え、はい...」
「絶対楽しむことっ!」
「勿論です!!」
そして12月25日、当日。
店の中はどんちゃん騒ぎだった。
瞳也はもちろん、愛大もたくさんはしゃいで楽しんだ。
「ねーねー! 愛大君、瞳也君にプレゼント無いのー?」
彼女の1人が瞳也に寄り掛かりながらそう問いかけた。
「いちお、ある...」
「見せてー!」
愛大は店の奥から小さな箱を持ってきた。
「これ、俺に?」
「...」
こくんと小さく頷く愛大。
瞳也は箱を開けた。
そこには...
「「「キャーーーーーっ!!」」」
彼女達の悲鳴のような歓喜の声が聞こえた。
箱の中に入っていたのは指輪だった。
それ見た瞳也は愛大に熱烈なキスをして幸せそうに笑ったのだった。
End