過去拍手文

□過去拍手文6
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樒の身体の血を洗い流すのはマスターのところのシャワーではなく梅雨の時期に入り低気圧に便乗して降り始めた雨だった。



「刃に報告、します」


もう声を出すこともない人間を積み上げると樒はライターを取り出して火をつけた。


つけられた火は雨など関係ないかのように死体に回り燃え上がった。

死体が焼ける嫌な匂いがする。


少し雨が弱まった。


樒は燃え終わったあとの灰をそこらに蹴散らして場を後にした。



巣に戻るとマスターにシャワーを借りた。


先ほど落としきれなかった血がどんどん排水口に流れていく。
足で血が流れていくのを止めたりして遊んでいたが他の殺し屋の気配を感じて早々に出ることにした。






シャワーから上がった樒は先ほどの殺し屋、諷の隣に座った。



「お疲れです」



返り血さえついてなかったが上手く行かなかったのだろう、あまりにも不機嫌だった。


「マスター、バーボン」



「ケツの青いガキが酒なんて飲んでんじゃねぇよ」



驚いた。
まさか諷から話しかけてくるとは思っていなかったからだ。



「彼はザルですよ」



樒が答えないうちにバーボンを用意したマスターがそう答えた。



「チッ」




諷は何が気に入らなかったのか巣を出て行った。


マスターはいつものようにクスクスと笑いながらガラスを磨いている。
樒は訳が分からず外を見た。

窓の向こうではまだ雨が降っていた。







End

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