短編

□透き通るキスを君に
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俺の恋人はエロい。
何かいい匂いもする。


お風呂上がりとか特にエロい匂いがプンプンする。


なのに恋人は俺の中の葛藤なんて知らない風に上半身裸でリビングに居て水を飲んでる。
この前なんてミルク味のアイス食べてた。あれはずるい、狙ってる。何をって、俺の俺が勃つのを。



「お風呂上がったよ、冷める前に入りな」


そう言いながらガシガシと首に掛けてあるタオルで頭を拭く恋人。その腕の筋肉が動く度に俺の喉が鳴る。


「なぁ、緋瞳(ひとみ)

「何」

「ちょっと背中貸して」

「……は?」



我慢出来なかった俺はエロい匂いをさせている恋人の背中に飛びついた。「おい」とか「離れろ」とか聞こえるがこの際無視だ。

つい、と指を這わせればビクリと動くその背に小さくキスを落としていく。
うん、エロい。エロすぎるよ、緋瞳。



「……っに、がしたいんだお前は……!」

「緋瞳がエロいのが悪い」

「はぁ?」


至極真面目に言ったはずなのに呆れた様子の緋瞳は部屋に戻って早々にタンクトップを着てしまった。
……着ていても着ていなくとも彼のエロさは隠しきれていないのだが。


早く風呂に入れと急かされるまで俺はずっと恋人のエロい匂いを堪能していたのだった。




End

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