短編

□暗闇ノ中
1ページ/3ページ


「あ、…ぅ、や、やだ、ぁあ、…や、」

(ゆず)ちゃん、大丈夫だよ〜ほら〜ぎゅーってしたら暖かいでしょー? 俺がいるから大丈夫、大丈夫〜」


嗚咽を漏らす俺を抱き込んで背中を撫でるのはチャラチャラとした男子生徒。


俺、秋鞘 柚南(あきさや ゆずな)がこんな事になっているのは数十分前に遡る。





王道学園、と呼ばれているらしいこの学園は学園の運営をほとんど生徒にやらせるという外から来た人間にとっては吃驚仰天な所だった。
まあ、この学園に馴染んでしまった俺からすれば大人に任す方が不安を感じる部分がある。
生徒の方が連携も取りやすいし、視野も広い。細かいところまで目が届くし、解決も早い。
生徒の方がこの学園を支配していると言っても過言ではない。

そんな学園には生徒会と風紀委員会の二つの大きな組織がある。生徒会は生徒を纏め、風紀委員会は生徒を取り締まる役割がある。
そして何故かこの俺が生徒会顧問なんてものに任命されてしまったのだ。最初こそ上手くいなかったものの、今ではかなり信頼はされていると思う。こんな、ホストの様な身形でもだ。



俺がいつもの通り、生徒会室に行こうとエレベーターに乗った。すると、三階に着いた途端ドアが開き、生徒会会計が入ってきたのだ。「柚ちゃんだ〜」などと巫山戯た名前で呼んできたのを軽くスルーして挨拶をする。

そして三階から四階に向かうところで


がくんっ


と身体に衝撃が来たのだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ