短編

□聞いて喋ってこっち向いて
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「ねーねー! つまんないよー! 川越君喋ってよー!」

「……」



さっきからずっとこの調子。
僕はふぅと息を吐いてパソコンに向かっている彼を見やった。

彼の名は川越 猛藉(かわごえ たけふむ)

難しい名前と同じように難しい彼。
自分で言うのもなんだけど僕はモテる。近寄ってくる人間は全員僕に惚れる。
なのに...


「かーわーごーえーくーん?」

「……」


返事くらいしてくれたってよくない?!


「川越君、ここ分かんないなぁ」

「……」


はい、もう僕泣いちゃうよー? 泣くよー?


「川越くーん?...無視は流石に泣いちゃうぜ?」

「……」



この子もうスルースキルカンストしてんでしょ。









「猛藉」



「っ...」





お? 今反応してくれた?




「猛藉、ココ分かんない」


「…」


え、こっち向いてくれた(睨まれた)

名前呼んだら反応するとか可愛すぎるんですけど。


「たけふ「なんですか」...おおっ!」


なにこれテンション上がる!!!
めっちゃ食い込み気味に答えられたけど


「猛藉、つまんない」

「そうですか」


…そういう反応ですよね知ってます。

「川越君、休憩しない?」

「……」

「…………猛藉、休憩しよ」

「はい」




なんか変な感じするけど…扱いは慣れた。
でもやっぱり気まずいので...




会長達! 早く帰ってきて!!



End

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