短編
□無理だよ
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────なんで出来ないの?
────こんなに簡単なのに
────しょうがないよ
────そうだね、仕方ないよね
────だって落ちこぼれなんだから
「はっ───っ!!」
ガバッと起き上がって周りを見渡す。
きっとまた倒れちゃったんだ。
授業中なのに。
先生もいい迷惑だよな。
運んでくれた人もここの先生も。
「あら、目が覚めたかしら?」
そう言ったのは保健医である塩田 理緒先生。
言わずもがな、オネエである。
「塩田先生、ごめんなさい。もう大丈夫ですから」
「誰に謝ってるの」
「え、だから先生に」
「どうして?」
「..迷惑、掛けたでしょう? ..こんな奴の世話なんかしないでくださいよ」
「あなた馬鹿なの?」
先生は呆れたようにため息をつくと俺の肩を優しく押してまたベッドに横たわらせた。
「アタシは保健医よ? 生徒の世話が仕事なの。貴方の体調が悪かったら診察するし、顔色悪くして運ばれて来たら尚更。あんまりからかわないで」
先生は俺の頭をサラリと撫でるとニコリと微笑んだ。
「さぁ、昼休みまでは休んでもらうからね」
からかってるんじゃありません。それに昼休みまでなんて..そう言おうとした口は開くだけで音を発しなかった。
俺の意識はすぅーと小さく闇に落ちていった
End