短編
□無理だよ
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俺の名前は久賀 歩。
普通の高校に通う普通の
「歩君、また美術のコンクールで銀賞だったんだってね」
「どうして金賞じゃないの? スランプ?」
「金賞取らないと胸張れないよねぇ」
美術的センスを除けば普通の高校2年生。
俺には絵の才能がない。
兄貴にはあるのに
どうして一緒に頑張ってきた俺には兄貴と同じものが手に入らないのだろうか。
きっとこの前の銀賞だって..きっと俺の兄貴が世界的にも有名な画家だからだ。
普通なら入賞にも入らないような絵なのに銀賞に入れたのは兄貴のおかげなんだ。
「じゃあテストの結果返すぞー」
ガヤガヤとした教室の中でテストの結果が返される。
あー、きっとまた..
「久賀ー」
教師から渡されるテスト用紙を捲って順位用紙を見る。
まただ..
2年3組17番 久賀 歩
2位────
兄貴なら絶対1位を取ってたはずだ。
どうして俺はとれないんだろう。
「あれ? 久賀くん、2位? 僕なんて3位だったのに凄いねぇ」
「でも3年生のお兄さんは今回も1位みたいだよ?」
「久賀の人間はみんな1位を飾ってきたのに」
やめてよ
言うなよ
「久賀君って『落ちこぼれ』なの?」
────どうしてお兄ちゃんはできたのに貴方はできないの?!
────悠一(ゆういち)は凄いねぇ..それに比べて歩は..
────欠陥品なら捨てようか
────落ちこぼれなんて家の恥
────消えろ
────出てけ
────貴方、誰かしら?
もう、嫌だ..