短編

□100円玉の恋
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俺は不良だ。
それはまぁ偽りない事実なわけで。
見た目もちょっと近寄り難いと思う。



そんな俺が……



今とてつもなく困っている!!



電車に乗ろうと思ったが10円足りない!


やっぱ姉貴に金借りればよかった……。





どうしよっかな。今日は向こうで集会だからどうしても行かなきゃいけねぇし。帰りは送ってもらえるから大丈夫なんだけど……





「あの、」




10円が無いことに焦っていると後ろから遠慮がちな声がした。

振り返ると俺の胸元くらいしか身長がない男がこちらをじーっと見つめていた。


全然気配に気付けなかった……。


どうやらソイツの後ろにいる奴も仲間らしく俺に目線だけ送っていた。



「後ろ、詰まってるんで早くして下さいません?」


「あーいや、あの10円足りなくて……」


「え」






あ、やばい。何言ってんだ俺。



「あ、あのやっぱりなんでもな「はい、」……え?」





男が俺に差し出したのは10円ではなく100円。



「今財布見たら10円無かったんだ。100円でいい?」



なんとも太っ腹な奴である。



「あ、ありがと……」



俺は100円を使い、90円をそいつに返そうとしたが



「いいよ。返さなくて」



と言われ受け取ってもらえなかった。



ソイツは仲間と一緒に切符を買って俺の横を通り過ぎていった。よくよく見てみればソイツの目はブルーアイズ。

それに気を取られて電車を一本逃してしまったのは内緒




俺は電車の中で切符を握りしめるとまた会おうと誓ったのだった。





End

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