短編
□彼の恋人
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「なにそれ……」
ポカンとしていた男子たちの中で一人がやっと声を出しました。
「あの子が遅刻するようにわざと時間を早めるんだ。そうするとあの子は慌てるだろう? 待ち合わせ場所に走ってくるんだ。走るということは汗をかくということで若干色っぽく見えるということだ」
貴鍋君ってこんなに喋るキャラだっけか?
でも……貴鍋くんって
「計画性のある変態だったのか」
「男はみんな変態だ」
開き直っただと?!
「やっぽ〜おはよ、純ちゃん」
貴鍋君が意外と変態だったことに唖然としていると彼の幼馴染みの佐々木 乃祢が入ってきた。
「おはよ、今日は休むんじゃなかったのか」
「腰痛いけど1日純ちゃんに会えない方が嫌だからね」
「そうか」
「あ、そうだ。純ちゃん、明日は暇?」
「そうだが?」
「買い物付き合ってくんない?昨日、シーツ汚したから買いに行きたくてさ〜」
「替えがないと言っていたな。いいだろう」
「よし、じゃあ今日は泊まってきなよ」
「分かった」
何となく察しましたよ、貴鍋くん。
冷やかしていた男子たちも何かを感じたらしく『ごちそうさま』と言ってその場から離れて行った。
僕の視線の先ではまだ2人は明日のことについて話していたのだった。
End