短編
□彼の恋人
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「え、貴鍋って彼女いんのか!」
「えー! 可愛い? 可愛い?」
「こんなクールで冷徹な貴鍋 純、落とすとか女の方もやるよな! で、どんなヤツ? どんなヤツ?」
目の前で繰り広げられているのはうちのクラスの委員長に恋人がいるという噂が出始めたのでみんなで調べていたところ。
ちなみに男子校ですね。
僕は語り部なので名前とか出すな。って言われてます。
目の前にいる噂の真偽を確かめようとしている男子たちを華麗にスルーしているのは貴鍋 純。
さっきも言ったとおり、このクラスの委員長をやっています。
「別にいいだろう、彼女がいたって」
やっと彼が言葉を発しました。
英語のテキストを開いて少しイライラしてる様子です。
「よくねーって! どこに惚れたんだよ」
「そう! それ! 惚れたとこ教えろって」
「隣の女学園のヤツらに告られても靡かなかったっつーのに」
「あえて言うならば…待ち合わせ場所に遅刻してくる所かな」
は……?
僕の気持ちと冷やかしていた男子の気持ちが一致しました。