短編
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「つとむさん、おれのほんとうのおとうさんってだれなの?」
新神 強、大我さんのお父さんだ。
「急にどうした、白楽。誰かに入れ知恵されたか!? 大我か!?」
「ううん、へんなおじさんにね、きみのほんとうのおとうさんはじぶんだっていわれたの」
「……そいつ、どんな顔だった?」
強さんが急に慌てて俺の肩を掴んだ。
「高身長の痩せ型。無精髭に赤いメガネ。見た目は胡散臭いセールスマンみたいなもんだよ」
大我さんが俺の代わりに答えてくれた。
あの時の大我さんはかなり怒ってた。
当時、組長だった強さんがたじろいでたから。
「おれのおとうさんはつとむさんだよね?」
「あぁ、白楽。合ってるよ」
さっきの雰囲気とは一変。
ニコリと笑って俺の頭を撫でてくれた。
その翌日に事件は起きた。