短編

□いちご味
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「桜〜♪ …ってあれ、いねぇのー?」



俺、木場市 風夜(きばし ふうや)には可愛い中学生の恋人がいる。
まぁ恋人っていっても男だけど。

今日はたまたまふたりの予定が空いて恋人である地本 桜(じもと さくら)の家に来たわけなんだけど…




「本人がいないってどういう事だよ」



とにかく俺は桜の部屋で彼を待つことに。


しばらく待っていると


ガチャッ


玄関の方で音がした。


部屋に入ってきたのはコンビニの袋を持った桜だった。

「あ、ごめんLIME入れとけば良かった?」

「うん、ちょっと寂しかった」

「うん、キモイ」


酷い(泣)

桜はサラッとそう言うとコンビニの袋をテーブルの上に置いた。

「何買ってきたの」


「いちごオーレといちご大福」



相変わらずいちごが好きですね。
可愛いから文句はないよ。



「セプンイレブンのいちご大福とサークルJのいちご大福とどっちが好き?」





知るか。

どこのコンビニもいちご大福って一緒じゃないのか。


「俺はサークルJが好き。……でもファミリーマットにも売ってたから今度食べてみようかな」


なんて可愛い独り言だろうか。

俺は桜のいちごオーレを奪って飲んだ。

声には出さないが横をちらりと見るとぷくーっと頬をふくらませている。

あ、ナニコレ可愛い。



「ん!んぅ…」


可愛すぎてキスかましちゃいました☆



「ぷはっ……いきなり何すんだよ…」





「いや、可愛くて」

「………でも………美味しかった…」






んっ?!



え、お前が言うとエロいよ!





「えーと、桜くん?」


「いちごの味した。……美味しかった」











絶対無自覚だよ、コイツ…。


うわー、大変な恋人持ったな。
いや、いきなりキスした俺も悪いっちゃ悪いんだろうけどさ。

『美味しかった』だよ?何だよ『美味しかった』って。

しかも耳も顔も真っ赤。
襲ってって言ってんのかな?
襲って下さいって言ってるよね?

あーもー、無理でしょ・・・





こんな感じで1人悶々としている俺であった。

End

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