短編
□なんとか陀仏
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俺のアパートには幽霊が居る。
という噂がある。
いや、居るよ?
俺の目の前にね。
『ふわー! 今日は煮魚なんですねぇ♪ 美味しそうですぅ』
「食べれないからって嫌味か」
『僕は幽霊ですから食べれないのは当たり前ですよー』
コイツは俺の部屋に居る地縛霊(自称)。
名前は…ハルヒ。
何で俺と一緒の名前なのか物凄く不愉快だけどな。
俺の名前は風滝 晴日。
『今日はお家のお外を眺めてたんですよ〜』
「あ、そ」
『そしたら変な格好をした人が僕を見て手を合わせてましたぁ』
それやばくね?
霊媒師っぽくね?
ってか
「お前いつになったら成仏すんだよ」
『僕にも分かりません〜。晴日さんの生きてるうちに成仏したいですねぇ〜』
「何で俺の生きてるうち?」
『だってぇ〜、晴日さんが先に居なくなったら寂しいですもん。ここまで長く住んでいた人も居なかったからぁ』
「あ、そ…………だったら」
俺は煮魚をつつきながら
『はい?』
ハルヒは俺の向かいに座って
「一緒に居なくなればいいじゃんか」
そういった俺は煮魚をつついていたから気付かなかった。
ハルヒが少し顔を赤くしながら俯いたのを。
ハルヒは心の中で
(何ですか……その口説き文句は…)
とか思ってた。
End