短編

□愛して見せてその証
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瞳也はバーで働いてる。
瞳也のお父さんが経営するバーだ。
お客さんの殆どは瞳也の彼女さん達でほぼ毎日貸し切り状態だ。
というかバーじゃなくてキャバクラみたくなってる。


僕も時々遊びに行くけどみんなと王様ゲームとかポッキーゲームとか愛してるよゲームとかして遊んでるだけ。
そんなことしても瞳也のお父さんは全然怒らないし寧ろ微笑ましく見てる。


今日は別の団体さんが入るらしいから僕は行かないで瞳也をお見送り。
誰かが訪ねてきたらちゃんと覗き穴から誰なのか見るんだぞって、チェーンはかけ忘れんなよって。まるでお母さんみたいなことを言って瞳也は行ってしまった。
そこまで僕も馬鹿じゃない。
誰なのかはちゃんと見るしセールスとかもお断りする。



よし! お掃除開始!


























ふはー、終わったー。



ピーンポーン


むぅ? 誰だろ。









「はーい、今開けますー」

まず覗き穴で相手を確認。
ん? 女の人?


「どなた様ですかぁ…」

ドアを少し開けるとキツイ香水をつけて濃い化粧をした二十代後半くらいの女の人が立ってた。


この人…どっかで………………あ。




「瞳也の彼女さん?」

「あなた誰?」

「へ、」

質問に質問で返さないでください。
でも瞳也の彼女さんなら僕が誰なのか分かるはずだけど…。


「瞳也の彼氏ですけど瞳也の彼女さんですよね…?」

傍から聞けば変な会話だなとつくづく思う。

「そうよ。瞳也と別れて」

……………?












「ま、待ってください。僕のこと知ってますよね?」

僕の存在を理解しなきゃ瞳也の彼女さんにはなれない筈なのに…。

「あんたが瞳也をもてあそんでる自称彼氏さんでしょ?知ってるわよ?」

「ち、違いますっ。あの、瞳也が…そう言ったんですか…?」

違うよ

何でこんな事聞いてるんだよ。

瞳也はそんなこと言わない。











「そうよ」
















いや、だ・・聞きたくない・・・









僕はドアを閉めると鍵をかけて玄関に座り込んだ。

違うよ、違う。

瞳也はそんなこと言わない。

瞳也は僕を愛してくれてる。

僕も瞳也を………。
















アイシテルヨ。

























すっかり自信をなくしてしまった僕には聞こえなかった。ドアの向こうで彼女さんが


「もう少し遊んでくれると思ったのにつまらないものね。かーえろっと」





と言っていたのは……。
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