短編

□花のように美しい
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僕はいじめを受けてる。
というか全校生徒に嫌われてる。

朝の下駄箱にはカラフルな落書きと突然の集中豪雨。それに…レイプ未遂……まで・・・

















そんな僕にもひとつの楽しみがある。
それは………











「先生……出来ました…」

「よし、後で見るから休んでていいぞ」

「はぃ…」


先生との秘密の勉強会。

僕の教科書はビリビリに破られてて使い物にならない。ゴミ箱に捨てられているところを先生が見つけたのだ。

先生の名前は小阪 学(こさか まなぶ)
少し近寄り難い俺様系の先生。
だけど思ったより優しくてとても格好いい。









「先生…」

「ん?」

「どうして僕に勉強教えてくれるんですか?」


なんか毎回の勉強会で聞いている気がするこの質問。
不安になるんだ。
先生も敵なんじゃないのかって。
僕のことを騙してるのかって。
怖いよ、先生…。



「奈帆梨…大丈夫。俺の意思でお前に教えたいと思ったんだ」

あ、ちなみに僕の名前は寒川 奈帆梨(かんがわ なほり)です。


こうやって先生が言ってくれても信じられなくて怖くなって胸がイガイガして呼吸が出来なくなるんだ。





「奈帆梨…大丈夫。大丈夫だから」

胸を押さえる僕の背中を先生は優しく撫でる。


……ごめんなさい、ごめんなさい…信じられなくてごめんなさい……


先生に対しての罪悪感が体中を駆けずり回って……あれ、いつもと違う…。いつもより苦しい………。


「いつもより重いな。……奈帆梨? …奈帆梨!」



先生の声にも反応できないくらいの胸が裂けるような痛みに耐えていた。

痛いよ…先生………怖いよ、せんせ……



『小阪先生…助けて…………』

先生を見てそう言った気もする。
ちゃんと届いたかな。
もう限界なんだよって気付いてもらえたかな。
先生…先生………小阪先生…。







僕の意識は暗闇の底に堕ちていった。
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