短編
□抱きしめて暖めて
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「んぅ…ん、」
低血圧の僕は目覚めが悪い。
頭は目覚めてるのに目が開かないし自分でも分かんないくらい機嫌が悪い。
「ん、愛大おはよう」
そんな僕を抱きしめているのは僕の彼氏の瞳也だ。
瞳也の周りにはたくさんの彼女さんがいる。でも瞳也の特別は僕で。……なんて言ったらいいのかな。
瞳也は彼女さんたちのことを愛じゃなくて好きで僕のことは愛しててそれを彼女さんたちも僕も納得してて(彼女さんたちは半ば諦めてる)……って感じかな。
僕は瞳也が浮気してるなんて思わないし瞳也も僕にやましいことを隠したりはしない。
「目ェあかなぁい」
「ハハ、ちょっと待ってな」
瞳也はそう言うとベッドから出ていってしまった。瞳也の居なくなった場所がきゅうに冷える。
少し待つと瞳也の気配が近づいてきて僕の目に生ぬるいタオルを置いてくれた。
「あったかい…」
「ん、良かった」
チュッ
瞳也の唇が僕の首元に当たる。
「ん、くすぐったいよ。瞳也……朝はダメって言ったでしょ?」
タオルで若干目隠しされてる状態なので瞳也の唇が何処に当たるのかわからなくて当たる度に少し体がビクッと跳ねる。
僕はタオルを取って目をゆっくり開けた。
僕の空色の目が瞳也を映す。
「おはよう、愛大」
「おはよう、瞳也」
そこでやっと二人の唇が重なる。
「起こして」
そう言って両手を広げれば瞳也はにっこり笑って僕の両手を無視してお姫様だっこをしてくれる。
ねぇ瞳也は気付いてる?
僕がこうやって瞳也の胸板に顔をすり寄せて小さくキスをしている事を…。
僕らの朝はいつも甘い。
朝ごはんの時に瞳也が作ってくれるハチミツ入りの紅茶よりうんと甘い。
今日も僕らは見つめあって笑いあってお喋りしてキスをして……
抱きしめて暖めて……まぁその後は…お楽しみ
僕って幸せ者だな
End