短編

□理解するにはまだもう少し早い
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俺の同室は変わり者だ。


「聞いて聞いて、今日ねまた生徒会長と風紀委員長が喧嘩しててさ! もうちょいでキス出来たのにさー! あの腹黒副会長が『やめなさい二人とも。幸太(こうた)が怯えてますよ』ってさりげなく王道転入生の尻撫でながら言ってさ! 事故チュー見れなかったんだよ!? どう思う!?」



もう一度言う。

俺の同室は変わり者だ。


「どうも思わない。少し黙れ」



「まだあるんだって! これは君の貞操に関わる問題だから。今日ねチャラ男会計がね君のことじっーと見てたんだよ! もうだから無自覚たらしは困るよね! ちゃんと自分がモテること自覚してよね!」





もう何を言ってるか分からない。

俺にはコイツの言ってることが理解できない。

「で、俺にどうしろって言うんだよ」

「え、出来れば副会長とできちゃった婚して欲しいかな。王道転入生はただのきっかけに過ぎないんだからさ。王道転入生の言動に我慢出来なくなった君が副会長にあーやこーや言われるんだけどさ、副会長が王道転入生を庇ってるのを見て何だかモヤモヤしちゃってさ。で、段々自覚していく平凡無自覚たらしっていうのでBL漫画描けるよ!」



























俺の同室は変わり者だが


俺には理解できない事を話してる時の方が















幸せそうな顔をしている。

その顔を見てドキリと動く心臓の音を俺はまだ知らない。






End

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