短編

□静かな勉強会
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今日も図書室の一角で静かな勉強会が開かれていた。

僕が教えてもらってる側で僕の前に座ってるこのマスクをしている先輩が教えてくれるんだけど

「あの、」

「何…」

「ここ、教えてください。コレを代入するのは分かるんですけど計算が分からなくて」


「……これは――――――」



必要最低限の言葉しか発さない先輩の説明は僕にとってはとても分かりやすくて

でも何で僕に教えてくれるんだろうなぁ。
先輩、人付き合い良くなさそうなのに。


いや、何言ってんだ僕。失礼すぎだろ。




「分かった?」

「あ、はい。ありがとうございます」




僕がそう言うと先輩はふんわりと笑った。


笑、った………?



「ふにゃっ!」

「?」

「せ、せせせせせ先輩っ!」

「何?」

「もう一回笑ってください!」




「分かったから、静かに」


「ぁ……」


あまり笑わない先輩が笑った事で少し興奮してしまった。

ここは図書室だぞ。
すんごく司書の先生に睨まれてる…。
すんません。


にこっ


「こんな感じ?」


「は、はぃ……」


ヤバイ……可愛い………。



「じゃ、続きやろっか」

そして無表情になった先輩は参考書を指差した。


「はぃ」










今日も図書室の一角で静かな勉強会が開かれています。



End

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