短編
□攻略成功
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ピコピコピコピロリン
デッデデーン
『game clear! next stage』
機械的な音を鳴らしてゲームのクリアを告げたのは俺の嫁、端原 剣斗が寝落ちしてからだいぶ経ってからだった。
剣斗が眠ってしまったのは何となく覚えてる。
ラスボスがカッコ良くて討伐したらシェアルームで自慢しようと思っていた時に背中にもたれてきたからだ。
今は俺のすぐ近くでくるまって寝ている。
「剣斗、剣斗。風邪引くぞ」
いくら揺すっても起きないことは知っているのに鬱陶しそうに寝返りを打つ剣斗が可愛くてどうしてもやってしまう。
「綺麗な髪・・・・」
俺のとは大違いだ。
ゲームに没頭するあまり何日もお風呂に入らない俺とは違って剣斗は綺麗だな。
いや、剣斗は入らなきゃいけないんだけどさ。
剣斗はいわゆる不良ってやつ。
この辺でも結構名前が通ってて強い。
毎日のように喧嘩をしてるから返り血を洗い流さなきゃいけないんだ。
俺と剣斗が出会ったのは些細な事がきっかけだった。
剣斗のチームと敵対しているチームに絡まれた俺を助けてくれたってだけなんだけど。
かっこよかったな。
今じゃベッドの上では俺の下で可愛く鳴いてるっていうのになぁ。
俺は剣斗のおでこにキスを落とした。
でもやはりそれだけでは足りずに次々とキスの雨を降らせる。
「んっ……あ、」
寝てるっつーのに可愛い声出して……。
不良が聞いて呆れるよ。
「そんなとこで寝てちゃ襲っちゃうよ」
………………うん。
襲うわけ無いじゃん。
そんなことしたらあとで怖いし。それに剣斗の機嫌を損ねちゃったら嫌だしね。
俺はベッドから布団を持ってきて剣斗と一緒に床の上で寝た。
次の日起きた剣斗が首に出来たキスマークを見て悲鳴を上げるのは別のお話
End