短編 壱

□にゃんこ審神者主
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加州清光とこんのすけ




「では審神者様、この中から初期刀を────「にゃん」……あっ! ちょ!」


でかいキツネ──こんのすけの言葉を無視して顔を隠した役人の1人に近付いてその刀に足を添えた。

ぶわりと視界が真っ白になるも、目はすぐに慣れた。視界の端を桃色の花弁が舞っているのを見た。


「あー、加州清光。川の下の子、河原の子ってね。扱いにくいけど性能はピカイ・・・え? 猫?」

「加州清光様、この猫こそが貴方が仕える審神者様で御座います」

「にゃー」

こんのすけの言葉に一鳴きして、未だ困惑している加州の足元に擦り寄った審神者は彼を見上げてもう1度鳴いた。


「にゃー」

「これから宜しく……って、何で言ってる事分かるの!?」

「お、加州清光様。出来れば通訳をお願いします。道中言葉が分からず困り果てていましたので」

「にゃん」


混乱の増した加州を置いて審神者とこんのすけは先を行く。
こんなのでこの先大丈夫なのかと不安になる加州だった。










「あーるじっ」

「にゃん」

「今月は俺が近侍だよ。久し振りだ、主と2人きり」


あれから数年。
本丸の刀剣男士も増えた。
時々トラブルには見舞われるものの、比較的平穏に暮らせている白猫審神者。

加州の腕に抱かれながらぽむ、と書類に肉球判子を捺した審神者はまた「にゃん」と声を零す。

「あーるーじー。休憩はさっきしてたって長曽祢さんが言ってたよ。この書類タワー片付くまで休憩は無しね」

「にゃー」

「文句言わない、ほら。手を動かさないと終わらないよ」


あの時戸惑っていた初期刀はすっかり姑のようになってしまい、サボり魔の審神者はいつ抜け出そうかと考えるのだった。






End
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