短編 壱

□奴隷主
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文句なら主人にどうぞ



俺はこの世界に生まれ直して親が死に、兄弟も死に、途方に暮れていたところを拉致られ、『奴隷』にされた。



「よいしょ、っと……重っ」

酒やら食料やらが入った樽を持ち上げると船の上から『旦那様』が早くしろと声を張り上げている。
まともな食事も貰えない俺の身体は既に限界である。
やっとこさ船の死角となっている所まで運ぶ。



「よお、兄ちゃん。重そうだな」

そう声を掛けられて顔を上げて驚いた。


「あか、が……み?」

「おっ、俺の事を知っているか」


ここが漫画の世界だというのは死んだ兄弟や親の会話から気が付いた。
それに父親がよく分からない能力者だったし。もうよく覚えていないけど。


「……あ、えっと……まあ、」

「兄ちゃん、それどうした」

「それ? あぁ……」


四皇が指を差したのは俺の首に嵌る悪趣味な首輪だった。これが『旦那様』の『所有物』である証拠。


「……同意か?」

「は?」

「それを嵌めている事とその立場にいる事は同意か?」

「…………いや?」

これを悪趣味だと思う程には脳は正常だし時々『旦那様』に反抗もしてみる。


「そうか。それを嵌めた奴に事情を聞きたい。何処にいる?」


背後に仲間を従えてそう言う四皇…、赤髪のシャンクスに俺はそこまで大きくはないが気持ちの悪い色をした船を指差した。

その日の内に俺と他の奴隷の身が自由になったのは追記すべき事項だろうか。





 

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