短編 壱
□サラダの義兄主
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4年ぶりの里
俺達が里へ着いた時、何か騒がしく里民が怯えているようだった。
「何かしら…、敵襲?」
「彼奴等、オレらを足止めする為の駒だったとか〜?」
「その冗談笑えない」
「リコ、ブンタ情報を整理しろ。
俺は援護に回る」
『了解』
その場を瞬身で去って周りを見る。
どうやら本当に『足止め』をされたらしい。
任務の内容は今里を襲っている連中の動向を確認後必要なら始末しろ、というものだった。
連中のアジトは里から随分遠いところにあり、里を出て4年もの月日が経っている。
任務は成功に近かったが連中がここまで来ているとは察せなかった。
その事に悔やみながらもポーチから苦無を取り出す。
「サラダッ!」
叫ばれた名前は確か、俺の…妹だったはず。同姓同名だとかそんな可能性は一切捨ててそちらを見遣る。
随分と大きくなった妹に襲いかかる敵忍。
―――キン……!
間一髪。
妹と敵忍の間に滑り込み、敵の苦無を自分のそれで止める。
「なっ……!お前は……!」
「俺の妹に手を出して
生きて帰れると思うなよ」
誰かの息を呑む音が聞こえた。
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両目を写輪眼に変えて相手のチャクラを見る。
リコとブンタが近付いてくる気配がする。
「あちらで対戦した忍で間違いないわ」
「それなりに〜手馴れらしいけど〜、遠慮とか要らないよなー?」
そう言って俺の後ろに立った2人に離れた場所にいる上忍がやっと動き出す。
その更に奥を見れば火影とその息子がいる。
どうやら妹……サラダは一般里民を助けようとしてこうなったらしい。
4年前は少しぎこちなかった手裏剣の腕も上がっているようだ。
「兄さん…?」
「サラダ、向こうに行ってろ」
「……っ」
何故かサラダの息を呑む音が聞こえた。振り向こうとするが目の前で敵が動く。
「ナナシっ!」
「っ! あまり調子に乗るなよ」
この4年の俺達の腕、見てもらおうか。
End