短編 壱

□転生冥王息子主
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逢う時まで夢うつつ






ガバ、と起き上がると同時に鈍く伝わる痛みに再びベッドへと倒れた。
何か夢を見てた気がするがぶっちゃけよく覚えてないので割愛。

明るさに慣れた目で周りを見ればどこかの部屋に寝かされているようだった。


「あら目が覚めた?」

「……っ!?」


声がしたと驚いてそちらを見れば大層な美人が微笑んで立っていた。
確かこの人って……

「あの、ここ……」

「ここ? ぼったくりバーよ。今は気まぐれ休業中」


やっぱり……。
確か“シャッキー”と呼ばれていた、あの俺の


「あッ・・・あの! ぅぐっ」


そうだ忘れていたと起き上がると同時に走る痛み。アホか学べ俺。
そんな俺の様子にくすくすと笑ってシャッキーさん? は布団をかけ直してくれる。やさすぃ。


「レイさんなら直に戻るわよ。さっきまで此処に居たもの」


そう言うとシャッキーさんはお腹空いてるなら食べなさい、と湯気の立つお粥を置いていった。
パタンと閉じられた扉に俺は溜息を吐く。

何でここにいるのかだとか。
何で俺を知ってるのかだとか。
何で。何も聞かないのなんて。


「全部知ってそう…」


というか調べられてそう。
俺の存在なんて知らないんだろうと高を括って遠目で見るだけでいいやなんて都合良すぎたかな。


「ねむ、い」


そう言って俺は次に目が覚めた時に逢いたいと願った人がいると信じて目を閉じたのだった。



End
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