短編 壱

□転生冥王息子主
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逢えるとは思ってないけど




シャボンディ諸島の路地。
後ろには怯える女性達。目の前にはきっと人攫いと言われる人達。
俺はただ、俺の父親と思われる人に会いに来ただけなのになぁ。

どうしてこんな事になったのか。




俺の母親は狂人的だった。
父親と思われる人物を狂う様に愛してまるで隣に居るかのように振る舞う。
ご飯は当たり前のように一膳多いし、時々狂った様に叫び出す始末。

そんな母親は三年前に「今から貴方のところへ行くわね」と俺の目の前で首を掻き裂いて死んだ。


母親の目には俺なんて映ってなかった。
多分父親も俺の存在なんて知る由もないんだろう。
俺は母親を焼き、街の外れに墓を作って世話なんてしてくれない母親の代わりに俺を息子のように育ててくれた街の人達に頭を下げて街を出た。


母親の遺品を整理している時に見つけた日記に父親らしき男の名前があった。



【シルバーズ・レイリー】



かつての海賊王の右腕として立っていた男。
今は冥王と呼ばれ、シャボンディ諸島に住む。
俺はこの時初めて自分が『漫画の世界』に居ると気が付いた。この15年間、前世の記憶を持つんだな、と軽く考えていたがまさか自分が『ONE PIECE』の世界になんて。



…………そして俺は気付いた。


俺、冥王の息子じゃん。
え?エースと同じ立ち位置じゃん。これ危なくね?



日記は破いて燃やした。
あと死んだ母親の墓を蹴り付けたくなった。
鏡を見てまた気づいた。

俺父親似だ……orz



という訳で死ぬ前には1度遠くからでも見ておきたいよねと街を出て目指したのはシャボンディ諸島。

ひとつ言っておきたい。
めっちゃ掛かった。その間にエースが処刑されたとか白ひげが死んだとかメラメラの実がどうたらこうたらとか色んなニュースが飛び交った。

正直俺はレイリーに会えればいいのでどうでもよかった。一目でも会えたらそれで良かった。

…エースはきっと天国で海賊王に会ってるんだろうな。


俺は生きてるうちに会いたいです。
という訳で着いたはいいけど冒頭のシーン。

ちょっと狡いけど女の子たちは逃がしましょう。


「食らえ!砂かけ目くらまし!!」


「ぎゃぁあ!!」


あっ、これいける。
俺は女性達の手を取ってその場から逃げ出した。



――ザクリ


馬鹿ですよね目くらまししたの1人だけ。人攫い屋さんいっぱいいる。
肩痛い。痛いってか熱い。

でも逃げる。ここで立ち止まったら逃げれない無理ゲー。


という訳で


どうしてこうなった




End
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