短編 壱
□いじめられっ子主
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当たり前の痛み
目を覚ませばそこは明るい何処かの部屋。
薬品の匂いもしないから医務室ではない。
…でも誰もいないし、隊長さんの部屋?
え?何でや。
「よお、目覚めたか?」
そこに居たのはサッチ隊長とハルタ隊長。
起き上がろうとしたけどハルタ隊長に止められる。
「まだ寝てなきゃ。ひどい怪我なんだよ」
「……すいません」
少し怒った様子のハルタ隊長。
こんな間近で話したりすることなかったからなんか他のクルーに対する罪悪感が。
サッチ隊長はさっきから入口に居て動かない。
そういえば見つけてくれたのサッチ隊長だっけか。
「あ、の……サッチ隊長」
「ん?どーした?」
「見つけて、くれて有難うございます……。今回は、その、みんな苛々してた、みたいで痛かったので…」
「…………今回は?」
またサッチ隊長が怖い顔をした。
ハルタ隊長がどういう事かと俺に聞く。
俺は躾の事も全部話した。
隊長達も知ってるものだと思っていたから知らないんですか、と聞けばサッチ隊長は出ていってハルタ隊長はぎゅ、と抱き締めてくれた。
あの、十二番隊に殺されるので離れてつかーさい。
☆
(サッチ視点)
ガン、と勢いづけて開けた親父の部屋にはマルコとイゾウに絞られている三人のクルー。
俺だって隊長だ。
隊長格らにイジられてなんぼ、なんて精神でやってるがそれなりに強いとは自負してる。
マルコの止める声も聞かずにクルーの1人の胸倉を掴む。
「おい、“躾”ってなんだ」
クルーの顔が青白く染まった。
End